理由2
◎完全への強迫と恐怖
人によっては、
爪が伸びて、(爪については)「完全な状態」になってしまう恐怖というのはあるかもしれません。
「外見に欠損がなくなっても、自分自身の内側の欠損が無くなることはないのではないか」という恐怖故に爪を欠損させておく。
そうすれば自分の内側の欠乏感の理由を爪の欠損に帰属させることが出来る。
矛盾しているようですが、「完全でなければならないと考えるが故に完全でなくなろうとしている」のかもしれません。
完璧主義の人がやらかす、「課題がうまく出来なかったから提出しない」という行動に似ているのかもしれません。

あくまで私の考えですよ。


◎世界と折り合う方法
親の愛情なんて関係なく、世界と折り合うのに苦労する人は存在します。
実際ADHD(注意欠陥多動性障害)の子は爪噛みが多いらしいです。

愛情が足りていなければ孤独感は倍増するけれど、愛された自覚があってもどうにもならない。
そういう人は、「普通」を維持するのに多大な努力を必要とします。
でも、生まれてからずっとそうだったし、親もそう言うので「そういうもの」だと思っている。
だから、出来ないのは自分の努力が足りないのだと自分を責めたりします。
実際は人並み以上の苦労をしていても、です。みんなはこれ以上しているのだと考える。

努力と結果が正比例するという考えがまだまだ根強い日本ではなおさら悲劇です。
「出来ないのは努力が足りないからだ」という理論に何の疑いも抱かない人も多い。
全く信じ込んでいる人は稀だとは思いますが、その理論が日本に生まれた限り逃れられない根底まで染み込んでいるのを時々感じます。
成功と努力には密接な関係はあるのは確かでしょう。
ただ、努力したから成功したという人の陰で努力しても失敗した人だって例外とは呼べないぐらいの数いるはずです。
そういう話は隠されているとしか思えない。
なんだってこんな簡単な統計のトリックに簡単に騙されてしまうのか。

結果が出なければ努力さえなっかったことにされてしまう。
日本は言うなれば究極の結果主義社会です。
欧米の結果主義は、本当に結果だけを見ている感じがしますが(私の勝手なイメージですが)
日本は、「良い結果が出なかった=努力が足りない=人格の否定」ということになってはいないでしょうか。

そんな社会で、「少し"ずれて"いて、かつそれを感じ取っている人間」がどうなるか。
ずれていることに気づかなければ悩むこともありません。
ただ、感じ取ってしまえば自覚のないままに努力を重ね、それでもまだまだ足りないらしい。
なぜかわからないけど、しんどい。だけどそんなこと言っちゃダメだ。みんなはもっと努力してるはず−
私は努力が足りないから出来ないんだ。
だって違う分野なら結構できてる。能力が低いわけじゃないんだ。

この場合、「やれば出来るのに」という言葉は、発破をかける励ましの言葉ではなく、「もっと努力をしろ」という脅迫に他なりません。

特に苦も無く結構うまくやってるくせに、思春期に誰でもある心の揺れを、そういう風に思いたがる人もいますが。
(そのへんの感覚を知りたい方は、小野不由美『魔性の子』を読んでみてください。ファンタジーですけど。「故郷喪失者」の感覚と似たものがあると思います)

プレッシャーやストレスが爪を噛ませると言われます。
それが事実なら、「少しずれている敏感な子」が爪を噛むのは仕方の無いことかもしれません。
途方もないプレッシャーに押しつぶされそうになっているに違いありませんから。
素直で優しい子ならなおさらです。
「爪噛みをやめろと言うのに全然素直にきかない」というのは、むしろ素直にきこうとするあまりにプレッシャーになっているということも考えられます。

もし、爪を噛んでいる彼や彼女が爪噛みを世界と折り合うストレスのはけ口としているなら、
親が必ずどうにかできるなんて思い上がりです。
かなりマシにすることは可能でしょうが、むしろ逆効果になる可能性もある。
得体の知れない不可解を抱えて、どうしてかわからないけど爪を噛んでしまう。
怒られたって、そう易々と世界と折り合えるようにはならないし、愛情をもらったってそんなの変わらない。
だいたい愛情の感じ方だって、ずれているかもしれない。
期待を感じて、うまくやろうとすればするほど寂しくなっていくんです。ああ、自分はダメな奴だって。

爪を噛んでいる子供は、爪を噛むことによって親を困らせ、周囲に不快な思いをさせているかもしれません。
だけどそれが、期待に応えようとして努力しても出来ないイライラのせいだとしたら?
「爪を噛んでまで何かしてくれようとしている」と考えることは出来ませんか?
爪を噛むことで何かもっとヤバイことを免れているのかもしれない。
私はあてはまらないっぽいけど、そういう人もいるかもしれないと思います。

ただの癖として爪を噛んでいるならなら怒れば治ると思う。
だけど少し世界に苦労している子なら、「そんなにうまくやらなくても誰も怒ってこないよぉ。適当にいこうや、適当に」って思えるまで待つしかないじゃないかと思います。
あと、そう思えるための対処スキルを身につけるのと。

成長すれば治るケースも多いのは、小さい頃は絶対正しいと思っていた大人が全く正しくなどないこと、言うことが人によって違い「すべての期待に応える」のは不可能だということ等がわかってくるからという部分もあるんじゃないかなあ。

「でも何でそれが爪噛みに繋がるんだよ!」といわれると困るんですけど…。
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